葬儀について


葬儀については、ご門徒さんからたくさんの質問をお受けします。
ここに浄土真宗の儀礼や作法を簡単にまとめたいと思います。ただし、
永い歴史の中、地域によって違っているところもあります。ご住職に
お尋ね下さることが一番です。
葬儀は葬送儀礼を略したことばです。亡き人を偲びつつ、人生において
の生と死の問題を厳しく見つめなおし、だれもを浄土に救わずにはおかぬ
阿弥陀如来の願いを仰ぎお念仏させていただく儀式です。

● 臨終を確認したら、お仏壇の灯明をともし香をたきます。花はそのまま
でも結構ですが、明るい色の花は避け、しきみや青木にする場合が多いようです。
ご本尊・お脇懸にお仏飯を供えます。

遺体を整え(湯で拭き、白衣を着せることが多い)、顔を白布でおおって
北枕(お釈迦さまが入滅されたときの姿によるが、必ずしもそうでなくてよ
い)に、ご安置します。

安置する部屋は、仏壇のある部屋が最適ですが、家の間取りなどの都合で
そうできない場合もあります。遺体の前には、荘厳(おかざり)しないのが原
則です。お仏壇がないとき(本来あるべきだが…。お仏壇参照)には、ご本尊
と三具足(灯・香・花)を机に用意しましょう。

● 親類・縁者に連絡し、お寺に枕経(まくらぎょう:臨終勤行のこと)をお願いす
るとともに、通夜・葬儀の日取りなどを住職と打ち合わせをします。

最近、初七日の法要を葬儀の当日にされる方が増えましたが、あまり感心できませ
ん。仕事や諸々の都合はあるでしょうが、亡き肉親を偲ぶこと以上の都合が
あるのでしょうか。身近な人だけでもよいので、従来どおり七日目に行いた
いものです。

また、友引にはお葬式をしないという人がいますが、これは
いわれのない迷信です(友引に友を引くという意味はない。本来は共引と書いた)。
火葬場(私の地元ですが…)もあけられています。

日の良し悪し・迷信に迷うことは、浄土真宗の教えから最も遠く離れた姿です。
浄土真宗門徒の真価が、問われます。

● 通夜は、有縁の人々とともに、亡き人を偲び生死を見つめるよい機会です。
静かに座って、法縁を深くかみしめたいものです。

焼香の作法ですが、まず本尊に一礼し(合掌はしない)、お香をつまんで
そのまま(額に近づけない)香炉の中に1回いれて、合掌・念仏・礼拝します。

● 葬儀の時、焼香する会葬者一人ひとりに喪主や遺族が立って挨拶をする
必要はありません。そのままお経を聴聞ください。挨拶は、式後等に全員に
いたします。

● 弔問・会葬のときは、お念珠を忘れず、門徒式章をかけましょう。香典の
上書きは「御仏前」です。「御霊前」ということばは使いません。浄土真宗は、
いのち終わった時すぐに浄土で「仏」に生まれる教えですから、「霊」は存在しな
いのです。

● 火葬場に提出する火葬許可証は、死亡診断書を役所に届けることで受け
とることができます。火葬がおわると執行済の印が押され、それが埋葬許可証になり
ます。いまでは、これらの手続きは、葬儀屋さんに頼むことが多いようです。

● 遺骨は49日の法事までに納骨することが多いようですが、いつまでに
というきまりはありません。納骨までは、仏壇のそばに机(棚)を置いて、
その上におきます。写真は、仏壇の正面をさけた上の壁に掛けられると
よいでしょう。お墓に納骨される場合は、竿石(さおいし)には、
「南無阿弥陀仏」や「倶会一処」と刻むのが望ましいでしょう。家名は台石に
刻みます。

● 法名(ほうみょう)
浄土真宗は、出家し戒律を守って生活をすることはしませんので、戒名
とは言わず、法名と言います。法名は本来死者につける名前ではなく、
仏法に帰依した人に与えられる名前です。したがって、生前に帰敬式(ききょ
うしき:おかみそりともいい、西本願寺でご門主が法名をつけてくださる
儀式)を受けて法名をいただき、浄土真宗の門徒としての自覚を新たに
したいものです。

生前に帰敬式を受けていない場合は、ご門主に代わって住職に法名をつけて
いただきます。

● 浄土真宗の法名は、「釈○○」のように二字法名です。
「釈」は、お釈迦さまの弟子にさせていただいたという意味です。「釈」の上
に、「○○院」と書かれているのは、院号(いんごう)といい、元来お寺のことですが、
そこに住居した人に、その院(お寺)の名をつけていました。現在では、教団やお寺の
護持発展のために功績のあった人に贈られるものとなっています。しかし、
院号には歴史上の問題点も多く、撤廃に向けての議論がなされているところです。

● 法名は白木のお位牌などに記録する場合が多いのですが、葬儀の後は、過去帳
に写します。白木のお位牌等は住職に預けられ、焼却していただきましょう。
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