遺伝子ビジネス

先月の新聞に、都内の2つの私立保育園が,
園児の知能や才能や病気リスクなどを調べる遺伝子検査を推奨しているという記事が出ていました。
保護者の3割がそれに同意して応じていたそうです。

園長は「子育ては情報戦」とあおり、検査会社は「子どもの未来を知るチャンス!」と宣伝し、
行き過ぎた行為を規制する立場である経済産業省も「経済成長を重視する」と、このビジネス規制には消極的なの
です。

お金儲けすることが子どもの将来を幸せにする(拝金主義的)と、国やこの保育園は考えているのでしょうか。
また、その根拠を遺伝子に求めていくことが正しい道でしょうか。
同時にそれが正解かのような雰囲気づくりを社会に広めていることに、いのちそのもの(生きる意味)
に対する危うさを感じます。

遺伝子検査は、科学的根拠が不十分(日本医学会など)というなかでの
不透明で安易なビジネス志向であることはもちろん、
取扱いに細心の注意を払うべき、きわめて個人的な情報を野放しにしているリスクもあります。

そして何よりも、倫理的問題が解決されていません。

遺伝子を根拠にした人生の決定が、はたして子供の将来にとって幸せをうむのかということです。
科学を暴走させ効率を重視していく人間の未来は、決して豊かにはならないでしょう。
人生は色々なことが起こるし、失敗しても回り道をしてもお互いが支え合って、
自他共に心豊かに生きることのできる社会が大切なのではないでしょうか。

よりどころがなく孤立し不安を抱えた子育て世代の親々には、
倫理的議論を尽くし、拝金主義によらない正しいよりどころを示したいものです。
そして何より、子供自身が安易な束縛から離れ、一生をかけて真実を求めていく人生を歩んでほしいと思います。


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