相模原事件が問う日本人の闇
2016年7月26日に相模原の障がい者施設やまゆり園で起こった
46人の殺傷事件から明日で一年になります。
今月被害者の追悼福岡集会に参加しました。この事件が起こったすぐ後の報道で見た
容疑者の衆議院議長への書状の内容が、たいへんショックであると同時に、現在の
日本の社会にとって深刻な闇(問い)を含んでいると思いずっと気になっていたからです。
衆議院議長への書状には、障がい者を殺すとあり、その理由には、日本と世界の平和のため、
それは経済の活性化だとも言っています。また、実行後に自分への5億円の金銭支援を頼んで
います。容疑者の生の価値観(よりどころ)は結局お金なのです。
容疑者だけの話でしょうか。現在の日本及び世界発展の指標の主だったものは、
GDPつまり経済至上主義の考えです。(GDP指標を改めて、指標を多様化せよと
発言しているヨーロッパの若い経済学者が先日テレビで紹介されていましたが。。。)
追悼集会の講師の香山リカさんも経済至上主義は排外主義を助長する(かせげない人は
社会的害悪と考える)から危険だとお話しくださいました。その通りだと思います。
個人で考えてもいいでしょう。あなたの生きる価値観(よりどころ)はなんでしょうか?
お金をよりどころとしている私がいないでしょうか?
人間は一生かせいでも、いのちの終わるときは何も持っていけませんしどこまでもひとり
孤独な存在です。かといって、この社会をひとりでは生きていけません。
多くの支えや仲間が必要な社会的な存在でもあります。人間は、孤独的な存在であり同時に
社会的な存在であるという矛盾をかかえながら苦悩や不安の中で生きているのです。
お釈迦さまは、2500年前にこの人間の事実を「人生は苦である」と示され、「そうであるからこそ
真実のよりどころを持ちなさい」と勧められました。真実のよりどころとは仏法(お経・如来の智慧)です。
仏さまの智慧は、孤独な私にいつも寄りそい、存在そのものを認めてくれます。
苦しみや不安をのりこえていくエネルギーを与えてくれます。相手の喜びが自らの喜びとなる慈悲の実践も教えてくれます。
相模原事件が問う闇を経済的側面ひとつにしぼって書きましたが、まだまだあります。人権軽視の問題、教育一律の問題、
格差拡大の問題、道徳復興の問題、愛国心優先の問題、メディア・ネットによる排他横行の問題などさらにです。
この事件の深刻さとおこった背景、また自分の中の意識に同様のタネがないのかも照らしながら
今後も注目していかなければならないと思います。