なぜ人を殺してはいけないの?
この議論は、すでに終わった議論だと思っていましたが、今もたくさんの質問メールを
いただきます。
お釈迦さまが説かれた教え(仏法)の中心は、縁起説です。すべてのものごとは、
お互いが網の目のように原因や条件がつながりかかわって成り立っていると
いうことです。つまり、私のいのちは他のいのちなくしては、存在しない、
生きてゆくことはできないということでしょう。
言いかえれば、すべてのいのちは頂きものなのです。もっと深くつきつめると、仏さま
からのあずかりもの、と言ってもよいでしょう。これが今回の問いのおさえです。
さて、なぜ人を殺してはいけないのでしょうか。
私たちは、生きているかぎり自分中心の心(エゴイズム)を持っています。つまり自分が
一番大切でしょう。その自分は、上に述べたように縁起、つまり他のいのちの上に成立
しているのです。したがって、他のいのちを殺すことは、一番大切にしている自分の
いのちを殺すことでもあるのです。
だから、人を殺してはいけないのですかという質問そのものが、自分のいのちは
自分のものと思っている、私たち人間の傲慢(ごうまん)さのあらわれに他ならないと思います。
上のおさえで述べた視点を日頃も持ち続けていたいと考えます。
余談ですが、小学生の娘にこの質問をすると、家族が悲しむし自分も傷つくから
だめだ、と言っておりました。
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