守宮(ヤモリ)

私の家には、夏になると必ずヤモリが帰ってくる。


ヤモリは、夫婦仲が良くていつも2匹がいっしょで
ある。卵をどんどん産んで、どんどん増える。

 (よく知っているでしょう。実は私が子どもの時
  飼っていたのです。とてもやわらかくてギュっと
  つかむとつぶれそうになります。当時、たいそう
  増えて、家中がヤモリだらけでした。)

どんどん増えたヤモリはいったい何処へいったの
だろうか。生まれては消え、また生まれては消えていく。

いのちの世界は、常にこの繰り返しである。このいのち
の大河のことを、インドでは、アミターユスという。

私のいのちもいつかはこの流れの中に帰るのだが、
いのちの大河はわたしのいのちを包み込み永遠に
流れ続けてゆくのである。


今日も、何処からかあらわれたヤモリは、今のいのちを
精一杯生き、そして何処かへ静かに帰っていく。


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